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2017/06/21

宮司就任奉告祭祝詞4 幹部③

 きょうは宮司就任奉告祭祝詞における幹部の三回目、まず前回つくったところを以下に掲げます。

大神等はも、某年と云ふ年、是の〇〇の清き明(あか)き処と、今の〇〇てふ処(ところ)を斎(いは)ひ定めて鎮め奉りしより此方(このかた)

 これに、代々の神職や氏子崇敬者によって、神社の護持運営が行われてきたことをつづけます。

私が宮司として奉職することになった神社は、氏子区域のほぼ全域が行政区画上の村だった頃、一村の総鎮守と目されていました。昭和三十一年にとなりの市と合併することになったのですが、いまでも住民のこころの中には旧村一帯の枠組みが色濃く残っているようです。

 そう考えますと、神職、氏子崇敬者が、神様を尊崇し、お祭をさかんに行ってきたようすを書くのがいいだろう、と思いました。まず、この部分の主語になる部分。

神職(かむづかさ)を初めて、御氏子・崇敬者の諸諸

 神職を「初めて」は「初めとして」という意味。「諸諸」は「諸」とすることもできます。こういう人たちが「神様を尊崇していた」とつづけるわけですが、ここでは対句を用いて、以下のようにしました。

吾が大神と慕ひ奉り、産土の大神と尊(たふと)び奉りて

おおまかな意味は「私の神様とお慕い申し、産土の大神として、尊敬申し上げて」となります。「吾が大神……」は「おらが村の~」というフレーズを思い出させます。「おらが村の……」は俗っぽいですが、当時の地域の人々の心情として「私の神様とお慕い申し」はそう外れていないのではないかなと思います。

「産土の大神」はそのままです。「産土大神」と「の」を入れないのが普通かもしれません。ここでは読み誤り防止のために入れています。「尊び」の位置には「崇め」「称へ」「敬ひ」「恐み」など、信仰心の諸相を表現するさまざまな語をいれることが可能です。そのうち、もっともしっくりくる語が「尊び」だと感じたので、この語を選びました。これは直前の「慕ひ」についても事情は変わりません。

 では、そのような神様をお祭りしていたとつづけたいところ、春に〇〇祭、秋に〇〇祭……などとやってゆくと、当然ながらきりがありませんので、まとめて書くことにしました。

時時の御祭の大きも小さきも、厳(いか)しく麗(うるは)しく治(をさ)め奉りて

「時時の」は「そのときどきの」「そのとき、そのときの」。意味からしてまさに不定で、祭日の決まっているお祭も臨時祭も含めています。そうしたお祭の「大きも小さきも」と、同じく大小みなひっくるめまして、「厳しく麗しく治め奉りて」は、おごそかに、立派に済まし申し上げて。

 ここまでをまとめて、以下に掲げます。

神職(かむづかさ)を初めて、御氏子・崇敬者の諸諸、吾が大神と慕ひ奉り、産土の大神と尊(たふと)び奉りて、時時の御祭の大きも小さきも、厳(いか)しく麗(うるは)しく治(をさ)め奉りて


 あすは幹部の最後の部分、最近の神社の状況を踏まえて、じぶんがお仕え申し上げることになった旨をどう書いていったか、説明してゆきたいと思います。

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